アニソン考察
ハマり過ぎて苦しいから考察って形で吐き出してみる。
普通にアコースティックなロンド、なんだけど…所々に忍び込むように入る不協和音が不気味さと苦しさ切なさを倍増させる曲。
《そっと開いたドアの向こうに
壊れそうな世界はある
朝が来るのか
夜になるのか
迷いながらひかりは綻びて》
インキュベーター達の企みで魔女になったほむらが作った「壊れそうな世界」。
そこはどんなものなのかほむら自身にさえまだ分からないまま、そこにその身を置き時を過ごしてゆく。
《声が呼ぶまではもう少し遊ぼう
花のように廻る時を繰り返し》
魔女になったほむらを救う為に円環の理(まどか)が動き出すまでは、このままの不自然ながらも幸せな時間を過ごして行きたい。
花は、ほむらのこと。『Magia』で度々出るフレーズの花と同じ。
何度も同じ時間を繰り返した過去のほむらのように…ってことかな。
《夢はこの部屋の中で
優しい歌をずっと君に歌っていた
何がほんとのことなの
一番強く信じられる世界を追いかけて
君の銀の庭へ》
夢→まどかの望み・円環の理。
部屋の中→歌の始めでドアを開けて魔女ほむらの世界に行ったとするなら、円環の理のある現実世界。
現実世界では、円環の理であるまどかが本当は弱い心を持ったままの自身を「自分のしたことは正しくて魔法少女達を救っている(という言葉が“優しい歌”)」のだと励ましている。
だけどほむらにとって、それが本当の正しさか幸せか分からない。
だからほむらの一番良いと思う結論へ辿り着く為に、まどか(円環の理)の元へ向かう。
《道に迷ったあの子が今日も
一番早く帰り着いた
正しさよりも明るい場所を
見つけながら走ればいいんだね》
道に迷わされたのは、インキュベータにもほむらにも運命を狂わされたべべ?
だけど彼女は悪魔ほむらの作った世界では一番に幸せを掴む。
それは使命を忘れてしまった故の幸せだけれども、それが間違いだとは誰にも言えない。
自分の望む道は正しくないと分かっていてもなお…幸せを掴みたい、与えたいと思うほむら。
《幼い眠りを守りたい番人
大人になる門は固く閉ざされて》
ほむらの作った世界の中でまだ覚醒しないまどか。
ほむらは時間を止めて今の幸せを続けてゆくつもり。
《君は気付いていたかな?
ほんとのことなんて
いつも過去にしか無い
未来や希望は全て
誰かが描く遠い庭の
我が侭な物語
まだ誰も知らない》
まどかを誰も知らない現実世界で、本当の過去をまどかの存在を知るのはほむらだけ。
まどかの望んだ摂理さえ、まどかの自分勝手な望みなのだとほむらは考える。
《ひたむきな小鳥の声で歌う子供は
何を隠し何を壊し
燃える時計
秘密めく花の香り
「ここにいるよ」》
ほむらの純粋な想い。
想いを遂げる為に、沢山の壊すもの偽るもの…
ほむらの能力を発揮して全てを成してゆく。
悪魔ほむらの想いは、妖しくも切ない。秘密めく「花=ほむら」はそれを表に出すことはない。
ただここにいるよと、寂しくないよとまどかに告げる。
《静かに寄り添って
何処にも行かないで
窓辺で囀って
何を失くしたって》
扉の外に二人は居る?
けれどそこは扉から遠く無い場所、すぐに部屋に入ってしまいそうな窓辺。
まどかが幸せに囀ずることが出来るなら、ほむらは何だってする。
《夢はその腕の中に
優しい人の嘘も嘆きも
閉じ込めていた
何か足りない心で
光を纏い飛んで行こう
少女のかたちをして
終わらない始まりへ
ほんとうの終わりへ》
円環の理は、全ての魔法少女の為に己を犠牲にした優しい人・まどかの強がりや淋しい気持ちを隠していた。
インキュベータの企みの結果、それに気付いてしまったほむらは円環の理からまどかの心?感情?の部分を分離して悪魔ほむらの作った世界へ引き込んだ。
円環の理の部分であり、円環の理である記憶を失っているまどかは「何か足りない」。
けれど心・感情を持った少女ではある。
その少女とほむらは幸せな時を過ごして行きたいと思う。
終わらない「幸せの時間」の始まり、それがこの物語の「本当の終わり」になるように。
《静かに寄り添って
何処にも行かないで
窓辺で囀って
何処にも行かないで》
窓辺というギリギリの危うい場所で、それでもここで幸せな時間を一緒に過ごして欲しい。
それがほむらの切なるただひとつの願い。
○○○
一度狂わされた運命は、誰かの犠牲ひとつも無しに大団円で終わる筈が無いと思うのです。
いつか円環の理としての自分に目覚めるまどかだとしても…
それを覚悟してこの道を選んだほむらだから、どんな結果になろうと思い残すことは無いんだと思います。
だから、続編を作るとか話はあるみたいだけど。
どうあがいても大団円は無理なんだからさ、こんな終わりでも良いと思うんだ。
最後の窓をリボンで閉ざした、ほむらの望みを想いを。
くんであげたい。